回復期

頚髄損傷

リハビリを続け座位や立位が出来るようになると、そこからは驚異的な速さで体の機能が回復していった。急性期の内から早期にリハビリを行うことが如何に大切かを間近で実感した。
『安静臥床の害』というものがあって、活動をせず安静にすることで、最大酸素摂取量の低下や骨格筋の筋力の低下、量の変化、質の変化を招くそうだ。
最初の1週間では10~15%も筋力が低下すると言われている。
また、座位や立位をとることは呼吸機能の改善に繋がるらしく、リハビリの初期の段階から必死になって座ることや立つ訓練をして下さった意味がわかった。
(参考資料: 理学療法やまぐち )

実際、座位と立位がとれるようになってからの回復は目を見張るものがあった。その頃は面会に行くたびに新しい事が出来るようになっていて驚きの連続だった。

入院20日目頃首のコルセットはまだしたまま。
尿カテーテルも外れていない。腰だけベルトで固定し、後ろの支えなしに立位訓練の様子
入院25日目頃首のコルセットが短いものにかわる。
右手の握力が10kを超え車イスを動かせるようになる。
痛みがあり移動はかなり困難。
入院28日目頃両側を理学療法士さんに介助してもらい歩行訓練。
足が前に出るようになってきた。
入院30日目頃尿カテーテルが外れ、尿意も感じるようになる。
看護師さんにトイレまでの移動の介助をしてもらい、立ったまま移動できる台に乗る様子。
入院32日目手にバンドを固定し、スプーンで食事が出来るようになる。
入院35日目入院して初めて外を散歩。
家にじっと居ることのない性格だった為、久しぶりに外の空気に触れ笑顔の写真撮影。
入院40日目頃歩行器を使って歩けるようになり、自分でトイレにいけるように。立ち座りも手すりや支えがあれば可能。
衣服の上げ下ろしは要介助。
入院50日目頃自立して歩行できるように!!

まだまだすべての動きはギクシャクして健常者には及ばないものの、劇的な回復を見せてくれた。
何より嬉しかったのはトイレに行けるようになったことだった。
それは、本人にとっても介助する家族にとっても精神的、肉体的負担を大いに軽減してくれるからだ。
事故当初、ここ迄なれると思ってもみなかった私にとって満点の出来だった。
しかし、夫はまだ社会復帰を諦めてはいなかった。確かに介助があれば日常生活は送れるが、元の職場で働くのは難しいと思えた。
見舞いに来る同僚たちが、「早く戻って来いよ。」と口にするたびに社交辞令と知ってはいても私の胸は苦しかった。

入院した病院は急性期を終えると退院しなければならなかったが、高圧酸素療法の所定の回数を終えるまでは残ることができた。それが残り数回となったところで転院先を決めるように言われた。
お世話になった医師、看護師、療法士の皆様方とのお別れは淋しかったが、いつも支援してくださった事に感謝が尽きなかった。
入院52日目  リハビリ病院へ転院

~入院から退院まで~(回復期)

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